あすかです。
前回は、私自身がキャラクターや顔文字など、「顔」が描かれたものに、あまり興味が持てないということをお話ししました。
でも、それを切り口にして、もっと話したかった問題があります。

それは、
自閉症スペクトラム(アスペルガー症候群)の人に、なかなか人の顔が覚えられないといった特徴があること。
こういった症状は、相貌失認とも、失顔症とも呼ばれています。

発達障害のあらゆる特徴と同様、相貌失認も先天的なもので、赤ちゃんのころからそういった特徴が見られるみたいです……
20100503

赤ちゃんのころから、顔の認知が弱かった?


『アスペルガー症候群』(岡田尊司:著)という本には、次のように書かれています。
アスペルガー症候群の人では、顔や表情の認知が弱い。顔がなかなか覚えられず、表情の意味を読み取り損ないやすい。自閉症の子どもでは、物体の認知には問題がないのに、母親の顔の認知では著しい低下が見られる。三、四歳の年齢でも、しばしば母親の顔がわからない。自閉症の子では、顔ではなく声や匂いや肌触りといった他の感覚で、母親を認識しているともいわれている。もう少し大きくなれば、もちろん、身近な人の顔の区別はつくようになるが、顔を覚えるのが苦手な傾向は続く。顔の認知が弱いという特徴は、早くから見られる特徴の一つと考えられ、自閉症スペクトラムの早期診断の手がかりとして注目されている。

この文章を読んだとき、私は大学の発達心理学の講義や、保育士試験の受験勉強のときに学んだことを思い出しました。

赤ちゃんって、わりと早い時期から、人の顔を認知できるようになっているんですね。
大体、生後2~4か月くらいで、「人の顔」と「人の顔でないもの」の違いが分かるようになります。
「目、鼻、口が何もない顔」を見ても、あまり微笑まないけれど、「目、鼻、口が正しく配置されている顔」には、微笑むような性質があります。
そして、母親の顔は、生後4~6か月くらいで、認識できるようになります。

私は大学の先生から、初めてこの話を聞いたとき、
「へー、赤ちゃんって、そんなに早くに人の顔がわかるんだ!」
と思いました。

赤ちゃんって、まだ視力がそんなに発達していないから、顔が早く認知できるようになるのって、かなり驚くべき能力です。
人の顔、特に世話をしてくれる人の顔を認知するのって、これから生きていく上で必要だから、いち早くできるようになるのかもしれません。

でも、私自身は自閉症スペクトラムなので、もしかしたら、そういった顔への認知力がうすかったのかも。
赤ちゃんのときからそうだったから、大人になってからも、なかなか人の顔が覚えられないのかもしれません。


自閉症スペクトラムの人の、世界の認知について


では、自閉症スペクトラムの人は、どのように世界を認知しているのでしょう?
『アスペルガー症候群』の続きを、引用します。

 風景などの写真と顔を見せて、その記憶力を比較すると、健常な人では、顔の記憶力が圧倒的に優れているのに、自閉症スペクトラムの人では、風景の記憶の方が優れているという結果が出る。実際には、風景の記憶が優れているというよりも、両者の記憶にほとんど差がないため、健常者と比べたとき、風景の記憶が優れているという印象を与えるのである。
 つまり、自閉症スペクトラムの人では、顔を特別なものとしてみなさず、物体や他の体の一部と同じように認識しているといえるだろう。そこに提示されている豊富な社会的情報は、読み落とされてしまいがちである。

これを読んで、なるほどと思いました。
確かに私の記憶も、顔の印象だけが強く残るということはありません。

たとえば、人と話していても、その人の表情だけに目がいくというよりも、机のシミやBGMのうるささなど、環境が気になることがあるのです。
これは、すべての情報をまんべんなく拾ってしまう特徴も手伝ってのことだと思います。

それから、2~3回くらい会っている人の顔を見ても、会っていることすら思い出せず、「初めまして」と平気であいさつしていることもしばしば。
誰かから親しみをこめて声をかけられても、ピンと来ないこともしょっちゅうです。

ここまで書くと、ずいぶん非人間的と思われてしまうかもしれませんが(^-^;
こういった相貌失認失顔症の症状は、先天的なものであり、認知機能や脳が原因であることが多いため、本人には全く悪気はないのです。
私だけでなく、似たようなことで悩んでいる当事者の方は、他にもいると思います。

またもや長くなってしまったので、次回に続きます……

アスペルガー症候群 (幻冬舎新書 お 6-2)



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