あすかです。
今日は、このブログ初!のブックレビューです。

1冊目に選んだのは、「自閉症スペクトラムとは何か」(千住淳:著)
自閉症スペクトラム(ASD)という言葉が聞かれるようになったのが、わりと最近のことなので、その定義について実はよく分からないという方も多いのではないでしょうか?
そんな方に、入門書として、おすすめです。

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著者の千住さんは、自閉症の研究者です。
当事者(本人・家族)や支援者(医師・教師)の方々の協力を得て、自閉症の基礎研究を行っているとのこと。

そんな研究者の立場から、自閉症のことについて、これまで何がわかっていて、何がわかっていないのか、解説されています。
その内容は、自閉症の診断、遺伝子、脳、認知、発達、社会……と、多岐にわたります。


自閉症とは


みなさん、自閉症というと、どんなイメージがあるでしょうか?
もしかしたら、イメージしづらいって方もいるでしょうか?

自閉症というと、自分の殻に閉じこもっているというイメージを連想しがちですが、それは誤解です。
社会的なひきこもりとも、全く違います。

自閉症とは、人との関わりに困難さを抱える発達障害であると、本書では説かれています。

大きな特徴としては、二つ。

・対人コミュニケーションの困難さ。
・強いこだわりや常同行動。

人にはそれぞれ個性があります。
ただ、大勢の人たちとの違いによって、学業や就労などといった日常生活に制限が出てくる状態のことを、「障害」と呼ぶそうです。

「障害」とは、障害物競争のハードルのようなものだ、と考えてもよいかもしれません。

障害は絶対的なものでははく、個人と社会との関係によって決まっている、ということになります。

私は発達障害と診断されてから、障害というのは自分のことじゃなくて、他者との関係のことを指すのだと、ずっと思っていました。
だから、千住さんに自分の気持ちを代弁してもらったようで、とても嬉しかったです。


自閉症スペクトラムの診断基準


本書では、自閉症スペクトラムの新しい診断基準(DMS-5)についても書かれています。

みなさんは、アメリカの精神医学会の診断基準が、2013年にDMS-5に改定されて、アスペルガー症候群自閉症スペクトラム障害に含まれるようになったことは、ご存知でしょうか?

それ、何のこっちゃ?って思いますよね(笑)

本書が出版されたのは2014年なので、新しい診断基準についての最新の情報が、詳しく書かれています。
手のひらサイズの新書で、これらの内容が分かりやすく読めるのは、ありがたいです。

それにしても今は、アスペルガー症候群と自閉症スペクトラムの名前が、あちこちで混在して使われていて、分かりづらいですよね?
発達障害やその他の診断名を重いと感じたり、自分がどのカテゴリーに当てはまるんだろうと悩んでいる人もいるかもしれません。

そのことについても、千住さんは言及されています。

「注意欠陥/多動性障害」をADHD、「学習障害」をLDと呼ぶことが一般的になってきていることを考えると、自閉症スペクトラム障害も将来的には「ASD」と呼ばれるようになるのかもしれません。
また、2013年に起こった診断基準の改定(PSM-5)を受けて、日本でどのような訳語が定着するのか、ちょっと予測がつかないところもあります。
すでに根付いてきた「アスペルガー」ということばが残るのか、「ASD」に統一されるのか、「自閉症」という訳語をそのまま残すのか、それとももう少しうまい訳語が生まれるのか。
いずれにせよ、当事者や支援者にとって使い勝手のよい、誤解を生みにくいことばが見つかればよいなあ、と思います。

誤解を生みにくいことばが見つかればよい、という言葉には、心から納得です。


思いやりの感じられる本


本書では、ASDの特徴や診断基準に限らず、ASDに関するさまざまな研究結果が書かれています。
で、どのページを読んでいても、千住さんの思いやりが感じられるんですよね。
おそらく、当事者や支援者に役立つことを目指して、研究を重ねているからだと思います。

私は本書を読んで、自閉症スペクトラムが特別なものでも異質なものでもなく、あくまで個性であり、社会との関わりによって生ずるものなのだと、実感できるようになりました。

特になるほど!と思ったのは、第9章の「定型発達症候群とは」について。
ここでは長くなるので触れませんが、ぜひ機会があれば読んでほしいなあと思います。


自閉症スペクトラムとは何か: ひとの「関わり」の謎に挑む (ちくま新書)



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