「自分が発達障害かどうか知りたい」

必死にそう思うようになった私は、診断ができる病院を、発達障害者支援センターでいくつか教えてもらいました。
あとは紹介状を手に入れて、発達障害専門の病院に、予約するだけでした。

私は大分以前、うつ病で通院していたので、そこで紹介状を発行してもらおうと思いました。
最初は大学病院で診てもらっていましたが、わりと遠かったため、地元の心療内科に転院して、ずっとお世話になっていました。
地元と言っても、一人暮らししているアパートから電車で1時間くらいのところなので、そんなに遠くはありません。

私は心療内科に久々に予約を入れようとして、電話をしました。

ところが……

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閉院!?


「当院は○月×日に閉院しました」

と、録音のアナウンスが耳に飛び込んできたのです。
びっくりした、というより、その場で凍りついてしまいました。

へ!閉院!?
紹介状どうすればいいの!?

携帯電話を切ろうとしましたが、アナウンスの続きが流れてきました。

「○月**日に臨時的に開院しますので、御用のある方はその日にお願いいたします」

**日は……未来!
まだ可能性はある!!

私はお世話になっていた心療内科の、実質上の最後の日に間に合って、駆け込むことができました。


心療内科の先生との別れ


私がお世話になっていた女医の先生は、いつも穏やかで優しそうな顔をしていました。

久々にお会いしても、相変わらずの様子でした。
でも、お身体の具合が悪くて、やむを得ず閉院することになったそうです。
それを聞いて、心が痛みました。

誰もが、永遠に健康なわけじゃない。
それは、お医者さまだって同じ……

私は、これから発達障害の診断を受けたいこと、そのために紹介状が必要なことを、先生に話しました。

明日から病院もなくなってしまうため、紹介状もカルテも無料で用意してもらえることになりました。
そのことを、素直に喜んでいいかは、分かりませんでした。


「でもね……あなたは発達障害じゃないと思うのよね」
先生はつぶやきました。

「だって、あなたのことは長い間診ていたけれど、カルテだってこんなに薄いのよ」
先生はカルテを指でつまんで見せてくれました。

たしかに私は、抗うつ剤をはじめとしたお薬を、さほど長く服用していません。
しかも、一回で処方されていた量も少なかったため、服用しても効き目がぼんやりとしか感じられなかったほどです。

薬が効きすぎると、副作用で苦しむ場合もあると聞いています。
それを思うと、薬を最低限の量に抑えて、様子を見守ってくださっていた先生には、感謝しています。


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「先生も、元気でいてくださいね」

私はそう言って、笑顔で先生とお別れしました。
病院を出たら、寂しさが後から後からこみ上げてきました。

そう、何もかもが永遠じゃない。
だからこそ、幸せを願わずにはいられません。

私は先生の幸せを、祈りました。
そして、先生から頂いた紹介状を手に、自分も幸せになろうと思いました。


(次に続く)

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