2013年。
私は再び、発達障害者支援センターに電話しました。
診断のできる病院の連絡先を、改めて教えてもらおうと考えたからです。

そしたら、
「病院に行く前に、一度こちらでお話を聞きましょうか?」
と、センターの方が面接することを提案して下さいました。

発達障害者支援センターは、未診断であっても相談できること。
そのとき初めて知りました。

私は面接の予約をお願いしました。


発達障害者支援センターの面接


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面接は約1時間。
これを3回行っていただきました。

担当してくださったのは、男性の支援員の方。
仮にAさんと呼びますね。

内容としては、以下の通りです。

・発達障害についての概要
→そもそもADHDやアスペルガー症候群とはどういうものなのか、説明してもらいました。

・発達障害の自己診断
→ADHD向けのものと、アスペルガー症候群向けのチェックシートがありました。
それでテストしてみた限りでは、やはりアスペルガー症候群の方が数値が高かったです。
それを元に、アスペルガー症候群に詳しい病院で診てもらった方がいいと、方針を立てました。

・発達障害の実際の診断について
→費用と期間はどれくらいかかるか、どんな風に診断するのかを、教えてもらいました。

そして、病院名をいくつかピックアップしてもらい、私の方で病院に予約を入れるということになりました。


発達障害は環境による


Aさんとの面接で、特に印象に残っている話があります。

Aさん 「発達障害って、その人がいる環境によるものが大きいんですよ。」

私 「環境ですか?」

Aさん 「たとえば、帰国子女の子がいるとするでしょう。
海外にいるときは自由気ままにやっても、誰も何も言わなかったのに、日本に帰ってきた途端、ささいなことでも怒られてばかり。
それで、発達障害が発覚するといったケースもあるんですよ」

私 「へー」

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発達障害は、環境によって目立つ場合と、目立たない場合がある。
なるほどと思いながら、帰国子女の例を聞いていました。

私も、前職で5年間事務を行っていたときは、そこまで問題は発生しませんでした。
ところが、転職してコールセンターで働くようになってから、パニックの連続になりました。

両方とも同じ私のはずなのに。
職場の環境によって、まるで別人のように変わってしまうことあるのか……って、思いました。


小学校の通信簿


それから、面接のときは、子どもころの思い出を話すこともありました。
発達障害は生まれつきのものなので、幼少のころからその特徴が現れているはずだからです。

私は、自分がとにかく多動だったこと。
友達付き合いが苦手で、イジメにも遭っていたこと。
とにかく、思い出せるかぎり、洗いざらい、話していきました。

それでも、客観的に話すには、限界もあります。
だんだんと、言葉がつまってきました。

私はそっと、小・中・高の通信簿を、Aさんに差し出しました。

数年前に、友達に発達障害について打ち明けたとき。
「診断のときには、通信簿とかあるといいみたいだよ」
と、アドバイスしてくれたからです。

実家に戻ったとき、それら一式を持ち帰って、手元に置いておいたのです。


……私の小学校のときの通信簿には。
先生からの一言として、こんな風に書いていました。

「優れた言語能力と、劣った行動力の差に、周りの子がついていけないようです」

小学生の私は、成績面はやたらと優秀なのに、忘れ物が多かったりと、生活面での評価がめちゃくちゃでした。

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Aさんは、古びた通信簿を手にして、それをじっと見つめていました。
私は小さくなって、俯いてしまいました。

しばし、沈黙。

Aさんは、私の様子から、何かを感じたのでしょう。
「本当は、見せずらいものだったろうに……どうもありがとう」
と、思いやるように、言いました。

そして、大事なものでも手渡すかのように、私に通信簿を返してくれました。

私は思わず、泣きそうになりました。


凸凹を受け入れてほしいだけ


発達障害の診断を、受けようとするとき。

おそらく、障害者というレッテルが欲しくて病院に行く人は、ひとりもいません。
かと言って、非の打ちどころのないような、パーフェクトな存在になりたい人も、いないんじゃないかと思います。

発達障害であろうと、なかろうと。
だれもが、特性上の凸凹があり、弱さがあります。

発達障害と呼ばれる人は、環境によって、その凸凹が目立つだけです。

私も、自分が抱えている凸凹の正体が分からないまま、真っ暗闇のなかを必死に走っているような子どもでした。

ただ、その訳の分からないものを、誰かに受け入れてほしかっただけでした。

私のとるに足らない思い出話を、大事にあつかってくれたAさんは、どんなに感謝してもしきれません。


(次に続く)

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